不老長寿がついに実現!寿命が3倍に延びる方法を発見!
アヤシい健康雑誌の胡散臭い健康食品の宣伝ではありません。
なんとも夢のような話ですが、現実にこんな奇跡が起きています。
スズメバチの世界で、ですが。
スズメバチの寿命が延びる原因とは?
ネジレバネという昆虫がいます。
この昆虫は寄生昆虫です。
ネジレバネは他の昆虫に寄生して生きる昆虫界のヒモ的存在です。
オスは成長すると翅が生えて飛びますが、メスは一生ウジ虫状の身体です。
幼虫のときに、餌場にウキウキとやって来たターゲットの体内にエイヤッ!と侵入すると考えられています。
スズメバチに寄生するのは スズメバチネジレバネ この属の最大種です。
さてこのスズメバチネジレバネに寄生されたスズメバチ(働き蜂)がどうなるのかというと…
なんと越冬してしまうのです。
特に衰弱もせずに。
スズメバチの寿命は女王蜂が約1年、働き蜂が2~3か月です。
働き蜂が越冬するということは、実質、倍以上寿命が延びています。
ただし副作用として、寄生されたスズメバチ(働き蜂)は自分の仕事をまったくしなくなり、無気力状態ヒキコモリンになってしまいます。
恐怖!寄生虫による行動コントロール
なぜスズメバチネジレバネに寄生されるとスズメバチ(働き蜂)は長生きするのでしょうか?
それは、スズメバチネジレバネにとってはその方が都合がいいからです。
優しさから宿主※1の寿命を延ばしてあげているわけではありません。
働かなくなるのも余計な体力を使わせずに寿命を延ばすためだと考えられます。
つまりスズメバチレジレバネは自分に都合のいいように宿主の行動をコントロールしているのです。
寄生虫に身体を乗っ取られ行動や寿命までをも操られてしまうというのは、なんともゾッとする話です。
宿主の行動をコントロールする寄生虫たち
宿主の行動をコントロールする寄生虫はスズメバチネジレバネだけではありません。いくつか例を見ていきましょう。
ロイコクロリディウム
ロイコクロリディウムは吸虫の一属でカタツムリの触角に寄生します。
この寄生虫の目的は、最終宿主である鳥の体内に入ることです。
この目的を果たすため、ロイコクロリディウムはカタツムリをコントロールして、カタツムリがわざと鳥に食べられるように誘導します。
普通のカタツムリは鳥に食べられるのを防ぐために暗い場所を好みますが、この寄生虫に感染したカタツムリは、明るいところを好むようになります。
鳥が必ず見つけるような明るいところに出てきたカタツムリの触角を占拠して、カタツムリの頭部がおいしそうなイモムシに見えるよう擬態をします。
ハリガネムシ
ハリガネムシは水生生物ですが、一生のうちのある期間昆虫類に寄生して過ごします。
カマキリやバッタ等の昆虫に、飲み水や餌を通して入り込み、成長するまでその昆虫の体内で暮らします。しかしこのハリガネムシが水のなかに戻らなければならないときが来たとき、悲劇が訪れます。
ハリガネムシは宿主の脳内作用を妨げるタンパク質を分泌し、細胞すべての機能を停止させ、宿主に自殺を促します。その結果、宿主は一番近くにある水場に飛び込んで溺れ死に、ハリガネムシは水中へ脱出します。
寄生をテーマにしたおすすめの本・漫画
最後に、寄生というものに俄然興味が沸いてきちゃった!という方におすすめの寄生をテーマにした本とマンガを紹介します。
【天使の囀り(さえずり)】 貴志祐介
グロいと評判!だけど面白い極上のホラー。この記事でもご紹介した寄生虫がキーワード。
貴志祐介氏の小説は「黒い家」「クリムゾンの迷宮」「悪の教典」「新世界より」がおすすめです。
特に新世界よりは、哺乳類では珍しい真社会性の社会構造を持つハダカデバネズミが重要な役割を担っています。
(※真社会性の社会構造は、平たく言うと超階級社会で不妊個体が存在する社会です。スズメバチも社会性昆虫といわれ、このような社会構造を持っています。真社会性は人間の目から見るとものすごく非情な社会構造で、すご~く興味深いのでいつかご紹介します。)
ちなみに貴志祐介氏はスズメバチがテーマの作品「雀蜂」という小説も発表しています。
【寄生獣】岩明均
グロ・残酷シーンは出てきますが、ストーリーの深さに引き込まれる超名作漫画。1990年の出版ですが今読んでも面白いです。岩明均の他の漫画「七夕の国」と「ヒストリエ」もおすすめです。
※注※
記事のサムネイルと冒頭のイラストの人物は、秦の始皇帝です。秦の始皇帝は不老不死であることを望み、国内各地に不死の薬を探すよう命じていた人物です。
「不老不死の薬探せ!」 始皇帝の命令、木簡から確認
中国で2002年に見つかった大量の木簡の中に、秦の始皇帝が国内各地で不死の薬を探すよう命じた布告や、それに対する地方政府からの返答が含まれていることが、最新の調査で明らかになった。引用:AFP
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